2007年3月25日日曜日

東寺の弘法市

小春日和に誘われて、東寺の弘法市へ。
境内は彼岸の入りも重なって、すごい人出。
人波に溺れそうになりながら、植木屋や古道具屋をみて歩く。

この日の一番の収穫物はコレ。
ほこりだらけの木箱の中、すすけたコケシやさびたハサミといっしょに
ゴロンとひとつ、どうにでもなれという風情で泥にまみれてころがっていた。
しゃがみこんで、まじまじ見る。手にとると、ずっしり重い。
全身、緑青でまんだらこ。そしてなんともいえない存在感。
好きだなあ、こいつ。

かなり、きこしめしている、昔極道かじってました風の古道具屋の
おやっさん曰く、

「これは火のしとちゃうか、昔のアイロン。
          柄はとれてるけどな、どやっ、300円。」

買う、買う、買う。いただきます。
おやっさんの酔いのさめぬうちにと、そそくさと新聞紙につつんでもらい
ホクホク抱いて帰る。

柄がとれて、まるで片口のようになったそのひょうきんな姿。
年代物の緑青の景色はなにやら窯変を思わせる。
きっと、働き者だったんだろうな、こいつ。
かくして、わたしのお宝となりました。

2007年3月17日土曜日

ライト商会

骨董屋、ライト商会三条店に行ってきた。
店主の佐藤さんは私たちとは学生時代からの友人。
去年の十一月ごろライト商会+坂田工舎で企画、制作した
電笠の写真を撮ってきた。
ライト商会のうす暗い店内で電笠は淡く光ってました。

ビリケンさんもちゃんとご在宅(ご在店?)
四谷シモンの百ン十万円もする人形もまだありました。
(このごろは「坂田さん買わない?」との声はかからない、当然だけど)
少しだけまじめに今後のお互いの活動について話をし、
ライト商会の看板猫、金太郎にあいさつをして帰宅。

猫はいい。この世に流れる計算や打算を少し
はぐらかして生きているような気がして、いいもんです。
風はまだ冷たかったけどいい一日でした。






2007年3月10日土曜日

花咲か爺気分。

なんと桜が咲いた。
二ヶ月前の寒風吹きすさぶ一月中旬、バッサバッサと切られた桜の古木。
もらってきて染料に使い、残った枝を壺に生けておいた。
灰色のガサガサした枯木のような枝から、ここ一週間、
急にムクムクと蕾がふくらみはじめ、
蕾の先っちょがピンクに色づきだしたとたん、
手品のようにあれよあれよというまに今度は花が咲き出した。
どこからみても本物の花。
まるで「枯木に花を咲かせましょう」の花咲か爺気分。
早くも一足お先にお花見を楽しんでいる。

でも、桜の花って不思議。
眺めていると、花のむこうに、なぜか死んだ人のことを思い浮かべてしまう。
ああ今年もきれいに咲いた、春が来たぞと浮き立つ気持ちの裏側で、
こっそり死んだ人のことを思いだしている。
そして、年々、思い出す人の数がザクザクふえていく。
桜って、やっぱり、不思議。

2007年3月3日土曜日

桜の枝

この前、向かいの神社の木々が
丸ぼうずに近い大剪定をうけた。
高さ30mの樫の木や銀杏の木、桜の木等々
樹齢不詳の大物ぞろい。
重機を使った大がかりな作業であった。
丸2日にわたる作業が終わると何か変。
まるでタテガミを刈りとられたライオンのよう。

小さな神社だけど、重みのある、
不思議な存在感は、大きな木々たちが
作りだしていた陰の中にあったとは!

すてられる寸前の桜の枝で
染めてしあげたバッグ。
すでに固いつぼみをつけはじめていた
桜がやさしいピンクの色に変身。

かつて緑陰の中にあった
神社の形見の品となりました。