2008年5月12日月曜日

おごれるバラ

バラの季節だ
うちにもバラはある いままで数々のバラを植え、数々のバラを枯らしてきた私だ
それでも懲りず、もうこれが最後と、割り箸ほどの細いモッコウバラの苗を植えたのが十数年前
はじめの数年は、つぼみがついては涙ぐみ虫がついてはハラハラし花が咲いては舞い上がってよろこんでいた
せっせと世話をやき気をくばり可愛がりまくった
いつの日かこれでアーチをと夢みた頃もあった
ちいさな弱々しかった苗木は、珍しくすくすく育っていった
開花時期が、学校の家庭訪問の時期とちょうど重なり、どの先生も子供のことはほめなかったが
バラのことは必ずほめたたえてくれた ところがだ このバラ、どういうきっかけか、いきなりグングンモクモクすごい勢いで急成長
切っても切っても、めげずくじけずへこたれず
毎年更なる強靱な枝をグイグイ伸ばす
アーチどころではない 柱をよじのぼり二階のベランダにからみつき領地拡大に日夜もえている
その姿からは、「のさばる」という言葉しか思いつかない
おまけに、このバラ、隣のカロライナジャスミンと意気投合し、両者固く結束し、仲よく連れ立ち
ベランダへ手に手をとってよじのぼってくる 互いの仲はそうとう深い
いまや、洗濯物もふとん干しも、両者の侵攻におびやかされつづける毎日だ
二種の黄色の花が満開に咲きほこる姿は、たしかに美しい
美しいが美しすぎて、げんなりする そのおごれる美しさは強迫的だ まいりましたと目を伏せる
なぜかあの弱々しかった頃のバラがなつかしい 
おごれるバラよ、いきつくところまでいくしかないのか

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