2007年4月29日日曜日

草ボウボウ菜園

今度の個展の作品が、半分ほど焼き上がった。
今日は2つ同時に窯を焼いている。
この時期になってしまうと陶器の方は制作しても間に合わないので、
今さらジタバタしてもしかたないというあきらめにも似た心の余裕ができる。

久しぶりに我が家の小さな菜園をじっくり見てみると、草ボウボウ。
「4月の末にこんなに草はえたっけ!」という感じ。
エンド豆のつぼみのすきまから白い花がかすかに見えるのと
鈴なりのネギボウズの他には野菜といえるものはなにもない。
雑草もじっくり見てみると四季折々の顔があって、
季節感を感じさせてくれるのだが、それにしてもたくましすぎる。

そういえば庭の小さな池のカメが時々顔を見せはじめた。
24才のカメは冬眠から目覚める度に少しずつ大きくなって
今では、家人いわく僕の顔ほどの大きさになっているらしい。
このカメは子供が小さかったときにせがまれて飼いはじめた。
これまでにチャボ、ウズラ、錦花鳥、猫、犬等いろいろ飼ってきたけど
今では、ほとんどほったらかしのカメと金魚しかいなくなった。

子供が小さかったときは、忙しがった筈なのに、
どうやって、いろんなことをしていたのか、不思議な気持ちになるのだが
もうあいまいな記憶すらたどれなくなっている。






2007年4月22日日曜日

"日々是好日"展

万緑の候、いよいよ来週からゴールデンウイーク。
坂田工舎の「日々是好日」展も3日からはじまる。
目下、シュラバ。布から出る綿ぼこりと、土から出る土ぼこりがせめぎあって、
家の中は、わやくちゃ状態。作品展前はいつも「日々是騒日」。
こういう時に限って、きまってアイロンがプッツンしたり、ミシンがエンコしたりする。
加えて、裁ちバサミが雲隠れし、買ったばかりの糸がいくら捜しても見つからない。
(糸は冷蔵庫の中、裁ちバサミはなぜかゲタ箱の上にあった)

今回の作品展では、ふだんの生活の中で、そばにあると
ほんのりうれしくなれるものを、めざして作った。
そのほんのりが、いつものくらしを、ちょっぴりうれしくさせるものなら、なおうれしい。

菜穂子の方は、大好きな麻素材を中心に
柿しぶバッグ、草木染めタペストリー、革小物など。
和章の方の陶器は、まだ焼成待ち。
当日は、焼きたてアツアツのをご覧いただけると思う。




2007年4月17日火曜日

女の花道

桜も、いよいよ花吹雪となって散りぎわクライマックス。
地面に舞い散った花びらは、小さな女の子がぬぎ落としていったタビのようにも見える。

山間部の当地では、今が満開。
いつも車で走る山道は、四季折々、さまざまな花木で彩られる。
今は山桜や大島桜、つつじ、黒文字、にわとこ,こぶしなどがみごとである。
これからは新緑の萌黄色のアーケードとなり、藤の花が山々を薄紫の滝のように流れる。
近くにバイパスができたので、今はこの山道を利用する車もほとんどなく廃道状態。
時々、鹿やたぬきに出くわし。きじが道を横切っていく。
私はひとりひそかにこの獣道化した山道を「女の花道」とよんで
季節の移りかわりを楽しませてもらっている。

写真は山道途中の桜の大木。
左下にちんまり止まる車は、我が愛車ロバのパーくん(パジェロミニなもんで)
この愛すべき老体のロバは、急カーブ、急傾斜だらけの山道悪路を
ぐちもこぼさず忍耐強く、ひたすらトコトコ走りつづけてくれている。
冬の雪道、氷のスベリ台となった凍結峠も、ロバの意地、底力を発揮してくれた。
気分はもうアンデス山脈を行くロバ気分でいるらしい。

しかし、最近、このロバを困らせることがある。
乗り手がうわついているのである。
急カーブの向方にある山桜なんぞにみとれて何度か谷底に転落しかかっている。
本当にこわいのは冬の凍結時より、花の咲き乱れる今の季節かもしれない。
けなげなロバに申し訳ない。




2007年4月8日日曜日

むかいの神社

この地に移り住んで30年以上になるが
はじめて山ザクラがソメイヨシノよりも先に花をつけた。
これから、山ザクラはソメイヨシノより先に花を付ける木になるかもしれない。

ところで、向かいの神社の桜が花をつけた。
幹に枝を差し込んだような、おおきな生け花のような
不思議な美しさがあった。

刈り込まれた時は枯れてしまうかもしれないとも思っていたが
こんなにしぶとく天に向かって花を咲かせる桜もまたいい。
生きていてくれたから。 
そう思った。


2007年4月1日日曜日

黒いヤカン

どうも そそぐ形のものにそそられる性分のようで、
ジョウロ、ポット、ピッチャー等に滅法弱い。ついフラフラといくつも手元に集めてしまう。
でも、ヤカンだけは別。これだけは、よそ見せずひとすじさんだった。(写真右側)

三十数年前、結婚祝いに妹が贈ってくれたものだ。
若い頃の堀立て小屋生活の中で、この銅のヤカンは、そこだけ場ちがいに光り輝いていた。
何回かの引越しにも、これだけは手にぶらさげてきた。
あれから幾星霜、台所の片すみで、私たちのさまざまなシュラバを黙ってみつづけてきたのだ。
ヤカンがもの言わぬ存在で、ほんとによかった。

銅磨きでせっせと磨いていた頃もあったが、今はもう、あるがまま。
古傷だらけの「人生ヤカン」である。そろそろ引退の潮時らしい。
そこでやってきたのが写真左側のヤカン。黒いホーロー製。
JR山崎駅前のレリッシュというお店でみつけた。
大山崎山荘、サントリー蒸溜所、レリッシュ。この三つは私の山崎ゴールデントライアングル。

これからの日々を、この黒いヤカンと過ごしていくつもり。
武骨でたのもしい、シュラバのよき相棒になってくれそうな予感がする。